2010年08月30日 19:30
高山市長選は29日に投票、即日開票され、無所属新顔で前副市長の国島芳明氏(60)が、いずれも無所属新顔で、前副市長の荒井信一氏(60)と元副議長の中田清介氏(62)を破って初当選した。当日有権者数は7万5195人。投票率は70.35%(2006年の前回は無投票)で、過去最低だった02年の55.15%を大きく上回った。
同日夜、同市下岡本町の事務所で国島氏は「市民のみなさんが思っていることを代弁して共感を得られた」と勝因を語った。
今回の市長選は、05年2月に周辺9町村を編入合併して以降、初めての選挙戦。4期目の土野守市長(73)が6月に引退を表明し、土野市政を支えた2人の副市長と、元副議長による三つどもえの争いとなった。
国島氏は、3氏の中で最も早く立候補を表明した。経済、雇用対策に向けた「積極財政」への転換や、市民との対話を訴えた。
自民県議や市議、農業、建設業関係者らの支援を受けて、合併前の旧市町村ごとに後援会組織を立ち上げ、組織戦を繰り広げた。3月末に副市長を退職して約500カ所の農家や企業を回り、ミニ集会を重ねて支持を広げた。
土野市長が支援した荒井氏は、土野市政の継承や発展を訴えた。福祉や財政運営への実績に期待が集まり、旧高山市を中心に支持を広げた。
中田氏は連合岐阜飛騨地協の推薦を得て「市民の目線」での市政改革を唱えた。
だが、荒井氏も中田氏も、立候補の意思表明が7月下旬にずれ込み、やや出遅れたことで、訴えを十分に浸透させられなかった。
■土野市政の転換選ぶ
解説 高山市民は、4期16年続いた土野市政の転換を選んだ。同時期に土野市長を副市長として支えた国島氏と荒井氏の争いが注目されたが、現市政を「古い政治」と切って捨てた国島氏が、「継承と発展」を訴えた荒井氏を破った。
「市民が主人公になる政治を」。そう訴えた国島氏は副市長を辞職後、市内各地を巡り、約1万人以上の市民と会って、過疎や雇用の問題、子育てについての悩みに耳を傾けてきたという。
集会などでは「退職してやせました。やっぱり公務員のアカって重いんですね」と切り出し、市民との距離の近さを強調した。副市長時代に推進した総事業費31億円の総合交流センターの建設計画についても、「市民には唐突な提案だった」として、一転、「計画の休止と再検討」を打ち出した。公約にも市民の要望をかなえるための補助事業も多く盛り込んだ。
ただ、市民からは「合併前と同じように補助事業をするのは無理ではないか」という冷静な声も聞こえた。
敗れたとはいえ、土野市政を継承し、堅実さを主張した荒井氏も一定の得票があった。編入合併後5年で市職員の2割削減や市営スキー場の廃止などの合理化。繰り上げ償還などで地方債残高を08年までの4年間で約160億円減らした財政手腕が評価されたからだ。
合併特例の交付税(35億円分)は、2020年度にゼロになる。引き続き厳しい財政の中で、公約をどう実現するのか、手腕が問われる。